篠ノ井線 霜取り列車 2017

2017.2/9

 篠ノ井線、霜取り列車を撮る! いつか実行に移したいと日々考えていたのだが、なかなかタイミングが合わなく、思い立ってからかれこれ1か月以上経っていた。早朝に運転される篠ノ井線霜取り列車こと回9947Mの運転時刻は早く、なるべく春に近い季節のほうが露出を得られるのだが、中途半端な2/9にそのチャンスは巡ってきた。
 篠ノ井線霜取り列車は、回9947Mとして4:50頃松本を出区し、深夜に着氷した架線の霜を取り除くため2つのパンタを振りかざしながら作業し、終着篠ノ井には5:40頃到着。10分程度の折り返しのあと、回9948Mとなって途中数駅で、動き出した特急や普通電車の退避を繰り返しながら7時過ぎに松本に戻ってくる。この返しである回9948Mは往路に作業してきたため、実質回送であるのでパンタは1基降ろして、片パンで復路を走破する。当然見てみたいのは往路の2丁パン上げでスパークさせながら疾走するクモヤ。でもこの季節の日の出時刻からすると撮影可能は復路の回送だけ、しかも後半戦しか撮影することはできないだろう。でもまぁいい。深夜の長距離ドライブを楽しむという名目で、ついでに篠ノ井線霜取り列車撮影に出発することにした。

 福井を20時ころ出発。途中仮眠を前提に早めの出発だ。高速は一切使わず一直線の最短ルートで松本入りしても全線高速利用とさして時間は変わらない。九頭竜湖から油坂峠〜白鳥〜高山〜安房峠で中部山地を貫く。途中の最低気温は氷点下8度。高山までは路面はほとんど乾いている状態だったが、高山を過ぎ安房峠のルートである国道158号で標高を稼ぎ始めると、完全な積雪になってきた。今季初のスタットレスタイヤの恩恵を受けながら松本到着。ここからは今夜の仮眠場所確保と、明日の撮影地へのアプローチとして長野道に乗り、途中筑北PAでしばしの仮眠を撮った。

 翌朝。陽がもう昇っているのかまだなのか分からないくらい、空は真っ黒な雲に覆われている。冷たいミゾレも時折降ってくるような最悪のコンディション。次の麻績ICで高速を降り一般国道でしばらく戻り、通過時刻まであと15分というタイミングで現着。やがて全く露出も上げられないまま、回9948Mを西条で追い越した「しなの2号」がハイビームでやってきた。どんな露出なのか、止まってくれるのか? それを確認するためだけに手持ちで一発テスト撮影してみることにした。



 こりゃダメだ。とても写真など撮れる条件ではない。ISO3200で1/100秒。望遠で流すか・・? いや、でもそんな腕は無い。仕方なくアンダーならアンダーで大胆に露出を下げ、早朝の暗さと冷たさを表現するために、しなの通過後、何度となくテストを繰り返した。そして3分後。西条で抜かれたクモヤ143は、先ほどのしなのに負けるとも劣らないスピードで接近してきた。止まってくれ!




回9948M
2017.2/9   篠ノ井線  西条〜明科   EOS5D 100-400mm

 僅かながらハレーションも出てしまったので、少々レタッチで修正。一仕事を終えねぐらに向けて一目散に駆け抜けるその行動がとても可愛らしく思えたが、人目に触れず任務を果たした早朝の事業車の姿を垣間見たようだった。列車を見送るともうあとは帰るのみ。その前に次回用にと明科駅手前の俯瞰ポイントの下見をした後、かつて大糸線撮影の際に何度となく通過した国道148号で糸魚川へ抜け、北陸道で帰還した。


2017.3/3

 前回の撮影から一か月近く経っていた。だいぶ日の出時刻も遅くなり撮影範囲も広くなるだろう。とはいってもまだ3月。これでも往路の回9947Mの走行撮影は極めて難しいだろう。聞けばこの篠ノ井カッター。例年4月中旬まで運転があるとのことなので、もう少し引っ張ってやろうかとも思う。なので今回も復路の回9948Mがメインになるだろう。復路は途中、稲荷山、聖高原、西条などで旅客、貨物列車の退避があり、平行する国道を使えば追っかけ複数回が可能とみた。しかし前回ロケハンした明科駅進入のトンネル俯瞰は捨てがたく、ここにたどり着くにはどうしても追っかけは難しく、仕方なく明科一本に賭けることにし、往路は姨捨の停車でバルブをかますことにした。

 本日も前回とほぼ同じ時刻に出発。そして全く同じルートで松本へ。いったん塩尻に向かい、調べておいた市内の山岡屋で深夜ラーメンを満喫。すぐに長野道を目指しインターへ向かって高速に入った。明日は姨捨から撮影。幸い至近の姨捨SAにスマートICが併設されているので、ここからアプローチすれば駅へは非常に近い。が、運転しながら偶然にも重要なことを思い出した。「姨捨スマートICって深夜流出入できないのはないか」ということだ。走りながら通過直前であった筑北PAに急遽ピットインして姨捨ICの利用可能時間を調べると、やはり・・・、だ。往路9947Mの姨捨着は5:30頃。しかし姨捨で流出できるのは午前6時から! 間に合わないのである。すぐにこの筑北PAでマルヨし翌朝は次の麻績ICで降りることを決め、目覚ましを早めにセットし眠りに就いた。麻績で降りたとしても姨捨駅までは一般道の峠越えが待っているのだ。それにしても危うくこのPAを通過してしまうと、遥か先の下界まで下りた更埴ICまで行かされてしまうところだった。

 翌朝、PAを出発し麻績ICで降り、急カーブ急勾配と険しい国道403号で猿ヶ馬場峠を越え姨捨駅に到着。こんな早い時間からすでに何名かのテツな方がホームに三脚を立てて待っていらっしゃった。9947Mは松本に送り込まれる回送列車を退避するため、このスイッチバックの姨捨に入線する。停車時間はわずか5分ほど。その5分が撮影タイムになるのだ。


5:25。峠から降りてきた9947M到着。上ってくる回送電車を退避するためスイッチバックに入線する。
2017.3/3   篠ノ井線  姨捨   EOS5D 24-105mm




回送電車の通過を見届けると、前触れなく突如として動き出した。
2017.3/3   篠ノ井線  姨捨   EOS5D 24-105mm

 列車出発を見届け、また今来た道を引き返し明科へと向かう。向かう途中で夜が明け、少し朝もやも立ち始める中、明科俯瞰到着。霜に足を滑らせながら斜面を駆け上がり山の中腹で三脚をセット。トンネル飛び出しなのでいつ来てもいいよう気配を感じ、9948Mの登場を待ち構えていた。




ヤマを駆け下りてきた9948M。今日の仕事はもうすぐ終わりだ。
2017.3/3   篠ノ井線  西条〜明科   EOS5D 24-105mm

 結局この撮影行の後は、日が長くなった4月になっても仕事のシフト上、出撃することは叶わなかった。来年に期待。存続を願うばかりだ。